資産運用“知ってる度”アップ講座・第1回

第1回 金利が下がると寿命は縮む!?

日本が世界に誇れるもの。スシ、テンプラ、サムライ、ニンジャ!?日本文化の魅力に誘われて、近年増加の一途をたどっている外国人観光客。ほんの10年前の2005年は年間673万人だった訪日観光客数。今年中にも「東京オリンピックの開催年2020年までに2000万人」という政府目標は前倒しで達成される可能性が高まっています。ただ、日本には、外国人観光客が街を歩いているだけではわからない、そんな誇れるものもあります。それは「長寿国」というステータスです。

平均寿命は、食生活や医療の水準など一国の豊さの表れでもありますが、実際のところ、日本がどれほど長寿なのか見ていきましょう。2013年時点で、わが国の平均寿命は84歳ですが、過去にさかのぼると1960年は68歳、1990年で79歳と、着実な長寿化を見て取ることができます。他国とも比較してみましょう。例えば米国。平均寿命は、1960年で70歳、1990年で75歳、2013年で79歳。失われた20年を経て、経済面では米国の後塵を拝する日本ですが、寿命という観点からは日本が明確な勝利を収めています。

ただし、日本の代名詞とも言える長寿化に対して、近年ではネガティブな見方が支配的になっているのも事実です。その理由は、老後の生活に対する懸念があります。総務省による「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、国民の8割が老後の生活に関して『心配である』と回答しています。公的年金制度に対する信頼感の低下が大きな要因と考えられますが、その一方で、超低金利状態が続き、ご自身の資産を増やしづらい環境が長期化していることも見逃せません。そこで、金利の変化が、どれだけ「増やしづらさ」に影響してくるのかを具体的にみていきます。

仮に、現役引退時の手元資金が2000万円、月々の取崩し金額を10万円、金利がゼロの場合、手元資金の寿命、つまり、手元資金がゼロになるのは16年8ヶ月となります。また、同じ条件の下、金利が2%、5%となった場合、各々、手元資金の寿命は19年4ヶ月、27年6ヶ月と長寿化していきます。逆に考えると、金利が低下すると、お金の寿命は短くなってしまいます。

出所:三菱UFJアセットマネジメント

では、どうすればお金の寿命を延ばすことができるのでしょうか?

選択肢は2つのみ。ひとつは、取り崩す額を減らす。今の例で言えば10万円の取り崩しを月5万円にする。でも、財布の紐を締めることが難しいのは誰もが周知の事実。そこで、もうひとつの選択肢、金利を引き上げることが浮上します。しかし、残念ながら金利水準を自分自身の裁量では動かせません。そこで出番となるのが株式や投信などを活用した資産運用を実践し、リターンを獲得するという選択肢です。これは、リスクを取る世界に足を伸ばして、お金の寿命を延ばしていこうという発想です。

老後の生活をまかなうために、リスクを背負って資産運用を行わなければならない。長寿化した時代に生まれたことを、思わず恨んでしまいたくなるかもしれません。でも、考えようによっては、しっかりと資産運用を実践していけば、余りお金の心配をせずに、長い人生を楽しめる時代になってきたということではないでしょうか。今、我々に求められるのは、人生100年時代を生き抜く者の常識と割り切って、資産運用と向き合ってみることではないかと思います。

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