資産運用“知ってる度”アップ講座・第6回

第6回 ロボアドを活用して自分探しを楽しんでみては

『生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ』 ご存知、シェイクスピア四大悲劇のひとつハムレットの主人公によるセリフ。さすがに、これほど深刻ではないものの、実は、投資を始めるに際して、「投資をすべきか、やっぱりやめとくべきか。それが問題だ」と悩む方は意外に多く、さらに、悩んだ末に投資することをやめてしまう方も少なくないようです。

なぜ、投資することをやめてしまうのでしょうか?友人たちに聞くと、「どうやってスタートしていいのかわからない、口座開設の手続きが面倒くさそう、何を買っていいのかわからない」という答えが返ってきます。新しいことを始めるためのちょっとした手間の存在が、投資を遠ざける理由になっているようです。しかし、もしかしたら資産運用すること自体が他人事になっているのかもしれません。というのも、私も含めて普通のサラリーマンなら、税金や年金などは基本的に会社まかせ、国まかせ。「毎月の手取り額は知っていても、給与明細の中身を知らない」と、しばしば言われるぐらいですから。金融広報中央委員会のまとめによれば、投資どころか金融資産ゼロの世帯割合はなんと30%を越えています。運用会社に働く者としては、金融資産ゼロ世帯の拡大は他人事ではすまされない事象です。

金融資産を持っていない世帯の比率 2008年頃には22%前後。2010年頃に大きく増加し、その後多少の増減がありながら2017年頃には31.2%になっている。

期間 2008年~2017年(年次)
出所 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯調査)」

さて、見事(?!)投資することを決断された方にとって、もっとも気になるのは運用成果ではないでしょうか。ただし、このコラムで何度か述べたように、中長期の運用成果は背負ってきたリスクの大きさに依存すると考えます。だからこそ、投資を始める際に、まず、自分がどれくらいのリスクを背負えるのか検討することは非常に重要です。専門用語で「リスク許容度の測定」と言われるものです。

最近、資産運用業界において「ロボット・アドバイザー(ロボアド)」と呼ばれるツールを提供し、投資を始める方のリスク許容度の測定をサポートする動きが広がってきました。いくつかの簡単な質問への回答をもとにリスク許容度を算出。その許容度に見合った分散投資ポートフォリオ、つまり、様々な金融資産の組み合わせを提示するのが一般的です。ロボアドを活用した資産運用サービスは、米国で急速に普及していますが、国内でも当社を含めて複数の金融機関等がサービスを提供しています。質問項目など細かい相違点はいくつもありますが、もっとも大きな違いは最後に提示されるポートフォリオです。

たとえば、株式や債券など一般的な資産の比率のみが提示されるもの、より詳細に具体的な組み入れ候補として複数の投資信託が提示されるもの、また、予め想定されたリスク許容度に適応するポートフォリオを実現することを目指す1本のバランス型ファンドを提示するものなど様々なパターンがあります。是非、色々と試していただきたいのですが、実際にどのサービスを利用するか決める際には、ポートフォリオの見直しなどメンテナンスにかかる手間の有無、そして、手数料や運用管理費用などの運用を続けていく際のコストなどは外せないポイントです。面倒に思われるかもしれませんが大切なお金のことです。シェイクスピアは『楽しんでやる苦労は、苦痛を癒す』とも言っています。ロボアドを用いた自分探しを楽しみながら、是非、資産運用に役立ててみてください。

さて、当コラムは今回で最終回となります。全6回、お付き合いいただきありがとうございました。皆さんがよりよい資産運用を実践くださることを願っております。

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